宝塚歌劇団花組の現トップコンビ、永久輝せあと星空美咲。
2024年5月27日のトップ就任以来、「合わない」という声がファンの間で話題となっています。
身長差や体格差への指摘から始まったこの議論は、宝塚の美的基準や伝統的なトップコンビ像への問題提起にまで発展。
一方で舞台での化学反応は徐々に評価され、初期の批判から好意的な意見への変化も見られます。
なぜ「合わない」と言われるのか、その真相と変化する評価を詳しく解説します。
なぜ「合わない」と言われるのか
身長・体格差の視覚的問題
まず最も大きな要因として挙げられるのが、身長と体格の問題です。
公式プロフィールでは、永久輝せあ170cm・星空美咲164cmと発表されています。
舞台上ではヒールの高さや振付・立ち位置、いわゆる”膝を落とす”所作などで見え方が変わるため、場面によって身長差が小さく見えることがあります。
永久輝さんは華奢で小顔という体型で、一方の星空さんは娘役としてはかなりの高身長。
この組み合わせにより、時には娘役の方が大きく見えることもあって、これが「合わない」と言われる最大の理由になっています。
永久輝さんの繊細な体型が、星空さんのしっかりした体格を際立たせてしまう傾向があります。
本来なら男役が娘役を包み込むような構図になるべきところが、逆に娘役が男役を包み込んでいるように見えてしまう。
これは宝塚の伝統的な美意識からすると、確かに違和感を覚える人が多いのも理解できます。
デュエットダンスでの懸念
宝塚のフィナーレといえば、華麗なリフトが見どころの一つですが、体格差の問題で安全性について心配する声も上がっています。
リフト等の安全面について公式の事故発表は確認できませんが、一部観客ブログで”ヒヤッとした”という記述もあり、永久輝さんの体力的な負担を心配するファンもいるようです。
また、身長差を調整するために娘役が膝を落とす所作は宝塚では一般的に見られるものですが、長時間続けると身体への負担が気になるという声もあります。
宝塚の伝統的美意識との衝突
宝塚歌劇には長年培われてきた美的基準があります。
男役は堂々として包容力があり、娘役は可憐で守られるべき存在という構図。
ところが永久輝さんと星空さんのコンビでは、この関係性が微妙に異なって見える場面があるんです。
永久輝さんの繊細で内向的な魅力と、星空さんの芯の強さや母性的な包容力。
これはこれで魅力的な組み合わせなんですが、従来の宝塚ファンが期待する「王子様とお姫様」的なイメージとは異なります。
この新しさが受け入れられるかどうかが、評価の分かれ目になっているようです。
ファン反応の温度差と背景
永久輝せあファンの不満
永久輝さんのファンからは、率直な不満の声が上がることがあります。
「ひとこちゃん(永久輝さんの愛称)にはもっと小柄で可愛らしい娘役が似合う」「体格差のせいで永久輝さんの魅力が十分に発揮されていない」といった意見が一部で見られます。
特に永久輝さんはVISA(SMBCカード)のイメージキャラクターも務める期待のトップスター。
ファンとしては、相手役にも完璧を求めたくなる気持ちがあるのかもしれません。
中には「詩ちづるさんや山吹ひばりさんのような可愛い娘役と組ませて」という具体的な要望まで出ているほどです。
星空美咲ファンの好意的反応
一方で星空さんのファンからは、好意的な反応が多く見られます。
「美咲ちゃんがトップ娘役になれただけで嬉しい」「永久輝さんが優しく接してくれて安心」といった声が目立ちます。
これは娘役の特殊な立場を理解しているからかもしれません。
娘役のトップ就任は、基本的にトップスターありきで決まるもの。
どんなに実力があっても、相手役との相性や運、タイミングが合わなければトップ娘役にはなれません。
だからこそ「相手が誰であれトップになれて良かった」という現実的な受け入れ方をしているファンが多いようです。
ファンコミュニティでの議論
ファンコミュニティ内では”並び(身長差)”や”ビジュアルの相性”を重視する声が一定数見られます。
これは観客の価値観に幅があることの表れでもあり、宝塚ファンは身長差を重視する傾向があることも影響しているでしょう。
「男役は娘役より絶対に高くなければならない」という考えを持つファンもおり、これに反するコンビは厳しい目で見られることもあります。
SNSでの議論も活発になりやすく、時には激しい意見交換が行われることもあります。
舞台での化学反応と評価の変化
初期作品での課題と成長
二人の本格的な共演は2022年の『冬霞の巴里』から始まりました。
この時、星空さんはまだ研6で、8期上の永久輝さんが演じるオクターヴの恋人アンブルを演じました。
星空さんの公式プロフィールにも”好きだった役:『冬霞の巴里』のアンブル”と明記されており、印象深い作品だったことが分かります。
続く2023年の全国ツアー『激情-ホセとカルメン-』では、ドン・ホセとカルメンというスペイン情熱的な役柄を演じましたが、ここでも体格差についての指摘は続いていました。
ただ、観客の中には二人の演技力や歌唱力を評価する声も徐々に増えてきたのもこの頃からです。
『ドン・ジュアン』での転機
大きな転機となったのが2024年の御園座公演『ドン・ジュアン』です。
この公演では、ドン・ジュアン(永久輝)×マリア(星空)の歌の相性を好意的に評する観劇記録が複数見られるようになりました。
特に注目されたのが、歌唱力での相性の良さです。
永久輝さんの繊細で美しい歌声と、星空さんの力強く表現豊かな歌声が絶妙にマッチして、デュエットでは多くの観客が感動したという感想が寄せられています。
この公演では「モラトリアム男性×包容力ある女性」という新しいトップコンビ像が見えてきました。
永久輝さんが演じる迷いや弱さを抱えた男性を、星空さんの母性的な包容力が支える構図。
これは今までの宝塚にはあまり見られなかった関係性で、多くの観客に新鮮な印象を与えました。
『悪魔城ドラキュラ』での新境地
そして2025年の大劇場・東京宝塚劇場公演『悪魔城ドラキュラ~月下の覚醒~』では、さらなる進化を見せています。
ゲーム原作ということもあり、従来の宝塚ファン以外からも注目が集まり、新しい観客層を獲得することに成功しました。
永久輝さんのアルカード(ドラキュラの息子)は、まさに彼の陰のある美しさが生かされた当たり役として評価されています。
星空さんのマリアも、芯の強い現代的な女性像として高く評価されました。
二人の舞台技術も格段に向上し、演出の工夫もあって、初期の頃の違和感を指摘する声は少なくなっているようです。
宝塚史から見る身長問題と今後
娘役身長の変化
星空さんの164cmという身長は、宝塚の娘役としては高身長の部類に入ります。
過去のトップ娘役を見ると、2000年頃は159cm程度が平均的でしたが、最近では163〜164cmが珍しくなくなってきました。
宝塚音楽学校の受験資格にも身長要件が設けられていた時期がありましたが、現在の公式要項では明確な身長制限は記載されていません。
時代とともに求められるスタイルも変化しており、星空さんの身長も現代の基準では特別に突出しているわけではないのが実情です。
男役も全体的に以前と比べて多様化が進んでいるため、トップコンビの組み合わせパターンも変わってきています。
永久輝さんと星空さんのコンビも、そうした時代の流れの中に位置しているといえるでしょう。
今後の展望
今後の二人の関係については、現時点では公式発表がないため推測に留まりますが、ファンの間では様々な可能性が議論されています。
一つは添い遂げ(同時退団)の可能性です。
歌唱での相性の良さが証明されていることや、永久輝さんの優しい性格が二人の関係を良好に保っていることなどが根拠として挙げられています。
一方で、永久輝ファンからは相手役交代を望む声も根強くあります。
より小柄で可愛らしい娘役との組み合わせを見たいという要望は今後も続く可能性があります。
新しいトップコンビ像として定着するか、それとも別の展開を見せるのか。
この二人の今後の活動が、宝塚の多様性にどのような影響を与えるかも注目されるところです。
まとめ
「永久輝せあ 星空美咲 合わない」という議論は、宝塚の伝統的美意識と現代の多様性が衝突する象徴的な現象です。
初期の身長差への批判から、舞台での相性の良さが評価される現在まで、この議論は宝塚ファンコミュニティの価値観の変化を映し出しています。
二人の努力と成長により、従来の「王子様とお姫様」とは異なる新しい時代のトップコンビ像を提示する可能性を秘めており、今後の展開が注目されます。
美的基準の多様化が進む中で、永久輝せあと星空美咲というコンビがどのような新しい魅力を見せてくれるのか、温かく見守っていきたいですね。
コメント