宝塚歌劇団月組の2番手スター・風間柚乃さんは、その卓越した実力で多くのファンを魅了し続けています。特に注目すべきは、エトワールでの革新的なパフォーマンスと、数々の困難な代役を見事に演じ切った実績です。
100期生として入団した風間柚乃さんは、入団当初から高い演技力と歌唱力で注目を集めてきました。父はプロゴルファーの小達敏昭さん、伯母は女優の夏目雅子さんという芸能一族の出身でありながら、確かな実力で現在の地位を築き上げています。
本記事では、風間柚乃さんがエトワールや代役で見せた圧倒的な実力を、具体的な作品とともに詳しく解説していきます。彼女の成長の軌跡を辿りながら、宝塚歌劇団における実力派スターとしての魅力に迫ります。
エトワールとは?
エトワールとは、宝塚歌劇のショーにおいて、フィナーレの階段降りで中央に立ち、美しい歌声でパレードを締めくくる特別な役割です。フランス語で「星」を意味するこの役は、通常は歌唱力に優れた娘役が務めることが多く、その美しい歌声で観客を魅了する重要なポジションとされています。
エトワールは単なる歌い手ではなく、その公演の象徴的な存在として位置づけられ、選ばれることは大きな名誉とされています。歌唱力はもちろん、舞台上での存在感や表現力も求められる、非常に責任重大な役割なのです。
風間柚乃さんのエトワール就任は、男役としては珍しいケースでもあり、彼女の歌唱力と表現力が高く評価された証でもありました。
エトワール出演回と楽曲
風間柚乃さんは、2022年の月組公演「FULL SWING!」において、初めてエトワールを務めました。この公演では、白河りりさん、きよら羽龍さんとともにトリプルエトワールという革新的な形式で登場しました。
階段降りの順序は「風間・白河・きよら(エトワール)→ 彩・天紫 → 暁 → 鳳月 → 海乃 → 月城」となっており、3人が協力して歌う形式は宝塚歌劇史上でも珍しいものでした(出典:月組「FULL SWING!」エトワールについて・風間柚乃、白河、きよら)。
このエトワールについて、観劇ファンからは以下のような感想が寄せられました:
- 「3人のエトワールがすごい声量で圧倒された!」
- 「風間さんが楽しんでやってるのが伝わってくる」
- 「エトワール歌上手すぎ!もっと長く聴かせて〜」
特筆すべきは、風間柚乃さんのエトワールが公演を重ねるごとに進化していたことです。「風間さんの圧巻の歌声。こぶしの入れ方。風間さんのエトワールは日に日に進化をし、アップクグレードされ続け、東京大千秋楽ではもうとんでもないエトワールが完成していました」との評価もあり、プロとしての成長力の高さを示していました。
当初、スポーツ報知は「エトワールを置かず」と報道しましたが、後に「風間さん、白河さん、きよらさんの3人がエトワールにあたる」として訂正・謝罪しており、この新しい形式のエトワールが話題になったことがうかがえます。
代役エピソードと評価の推移
風間柚乃さんは「代役のプロ」と呼ばれるほど、数多くの重要な代役を務めてきました。これらの経験が彼女の実力向上に大きく寄与し、現在の地位につながっています。
エリザベート(2018年)
風間柚乃さんの代役人生の始まりとなったのが、2018年の「エリザベート」でした。美弥るりかさんが休演し、月城かなとさんがフランツ役の代役を務めることになった際、月城さんが演じていたルイジ・ルキーニ役の代役に抜擢されました。
この時、風間柚乃さんはまだ研5(入団5年目)という若手でしたが、「本役かと思った」と言われるほどの見事な演技を披露しました。新人公演でもルキーニ役を演じていた経験と、もともと宝塚ファンだったという背景もあり、役に対する深い理解を示しました。
観劇ファンからは「研5というのが信じられないほどの実力」と評され、この代役経験により「研16といわれる貫禄」を身につけたとされています。
夢現無双(2019年)
2度目の代役となったのが、美弥るりかさんの退団公演「夢現無双」でした。今度は月城かなとさんが休演し、風間柚乃さんが本位田又八役の代役を務めました。
さらに、ショー「クルンテープ 天使の都」でも月城さんが演じる予定だった「ラクマヌー」役を代役で演じました。この役は当時のトップ娘役・美園さくらさんの婚約者の役どころでしたが、「月城さんとはまるで雰囲気が違った」「裏社会の人っぽかった」と評され、王子様系の月城さんとは異なる魅力を見せました。
チェ・ゲバラ(2019年)
3度目の代役となった専科・轟悠さん主演の「チェ・ゲバラ」では、月城かなとさんの休演により、2番手格のフィデル・カストロ役に抜擢されました。
轟悠さんと風間柚乃さんには29期もの学年差がありましたが、その学年差を感じさせない演じぶりでまたも評判になりました。当時研究科6年目の若手でしたが、「研究科16年目かと思った」などと言われ、その実力の高さを改めて証明しました。
カストロはゲバラの親友で、2歳年上という設定でしたが、轟悠さんに対峙する堂々とした演技で観客を魅了。「轟に対し何を今更という表現だが、余人を持って代えがたいゲバラだった。その轟のゲバラに対峙するカストロを100期生の風間柚乃が堂々と演じている」との評価を受けました。
これら3度の代役経験を通じて、風間柚乃さんは「おだちんは代役のプロ」と呼ばれるようになり、2018年度宝塚歌劇団年度賞新人賞を受賞するなど、その実力が公式にも認められました。
歌・芝居・ダンスの強みと課題
歌唱力の評価
風間柚乃さんの歌唱力は、多くの専門家や観劇ファンから高く評価されています。2021年のバウホール初主演「LOVE AND ALL THAT JAZZ」では、各新聞社のweb記事で「飛びぬけた歌唱力」として絶賛されました。
演出家の谷正純先生は、「この公演で一番の見どころは風間の歌。声量がある歌い方というよりも、物語を歌えると感じています」と評価し、単なる技術的な上手さを超えた表現力を認めています。
「応天の門」「Deep Sea」公演では、「音程が低いところから娘役かと思うほど高いところまで行きます。綺麗なファルセットで歌っていました」との評価もあり、幅広い音域と技術的な安定性を持っていることが分かります。
演技力の特徴
風間柚乃さんの演技力について、日刊スポーツは「笑みだけで複数の表現法を持つ。ほほ笑み、慈しみ、深い愛…どこか憂いを秘めたたたずまいから放つ笑みだけで複数の表現法を持つ」と評価しています。
また、「硬軟自在に演じ」る柔軟性も特徴の一つとされ、「応天の門」での藤原基経役では、これまでの発散型の役とは全く異なる冷徹で人間味のない敵役を見事に演じ切りました。
一方で、一部の評論では「自然派芝居上手」という評価もある反面、「キザッキザのキメッキメにしたザッツ宝塚なイケメン役を演じるのが苦手」という指摘もあり、今後の成長課題として挙げられています。
舞台での存在感
風間柚乃さんの舞台での存在感について、「目が合うという感覚になる確率が凄まじい」という観客とのアイコンタクト能力の高さが評価されています。
また、「数値化出来ない真ん中力」を持ちながら、「ちゃんとした舞台技術も持ち合わせた実力派」として、技術と存在感の両方を兼ね備えたスターとして認識されています。
「研18???」「専科???」と呼ばれるほどの貫禄を持ちながらも、「それだけの貫禄と腕前がありつつ、しっかりと成長を見せてくる。伸び代がもうないはずだと思わせるくらい素晴らしい完成度なのに、まだ伸び代があった」との評価もあり、継続的な成長力も大きな強みとされています。
まとめ
風間柚乃さんは、エトワールでの革新的なアプローチと、数々の困難な代役を成功させた実績により、宝塚歌劇団月組において確固たる地位を築いています。100期生として入団し、現在は2番手スターとして活躍する彼女の成長の軌跡は、まさに実力で勝ち取ったものと言えるでしょう。
特に注目すべきは、若手時代の代役経験が彼女の実力向上に大きく寄与していることです。「エリザベート」「夢現無双」「チェ・ゲバラ」での代役を通じて培われた経験値と実力は、現在の彼女の演技力と表現力の基盤となっています。
歌唱力においては「物語を歌える」という高い表現力を持ち、演技力では「硬軟自在に演じ」る柔軟性を備えています。舞台での存在感も抜群で、観客との強いつながりを築く能力も評価されています。
2025年現在、月組2番手スターとして活躍する風間柚乃さん。ダイキン工業のCMキャラクターや菓匠三全「萩の月」のイメージキャラクターも務めており、宝塚歌劇団の顔としても活動の幅を広げています。
今後のトップスター就任への期待も高く、宝塚歌劇団の未来を担う重要な人材として、ファンからの注目と期待が集まり続けています。風間柚乃さんの更なる成長と活躍に、多くの人々が注目していることでしょう。
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