宝塚歌劇団の人気男役スター・水美舞斗さんは、2009年に95期生として入団して以来、その卓越したダンス技術と多彩な演技力で多くのファンを魅了してきました。
花組での長いキャリアを経て、2023年に専科へ異動、そして2025年4月には宙組への組替えが決定している注目の男役です。
「マイティー」の愛称で親しまれる水美舞斗さんは、大阪府寝屋川市出身、身長170cm。
3歳からバレエを始め、祖母の影響で宝塚の舞台に魅了され、「歌と芝居で人をこんなにも感動させられるんだ。ここで踊りたい」という強い想いを胸に宝塚音楽学校を一発合格で卒業しました。
入団以来、新人公演でのルキーニ役抜擢、バウホール初主演、そして話題の外部公演でのアンドレ役まで、数々の印象深い役柄を演じてきた水美舞斗さん。
今回は、彼女の代表作を詳しく振り返り、その魅力に迫ってみたいと思います。
ベルサイユのばら(アンドレ)
2024年に上演された「ベルサイユのばら50~半世紀の軌跡~」での水美舞斗さんのアンドレ役は、多くのファンにとって忘れられない名演となりました。
この外部公演では、専科の凪七瑠海さんがオスカル、水美舞斗さんがアンドレという配役で、東京建物Brillia HALLにて特別出演を果たしました。
観劇したファンからは「心臓が飛び出るほどカッコ良かった」「久々のマイティがイケメンすぎのキラキラで、やばかった」「軍服貴族姿やアンドレがカッコ良すぎて倒れそうになった」という絶賛の声が続出。
特に、オスカルを見つめるアンドレの表情からは「オスカルへの愛がびんびんに伝わってくる」と評され、原作の世界観を見事に体現した演技が話題となりました。
水美舞斗さんの軍服姿の美しさと、アンドレとしての深い愛情表現は、宝塚版『ベルサイユのばら』50周年にふさわしい記念すべき出演となりました。
宝塚歌劇団の特別番組でも凪七さんとともにトーク出演し、この公演への想いを語っています。
はいからさんが通る
水美舞斗さんが鬼島森吾役を演じた『はいからさんが通る』は、2017年の東上公演と2020年の花組本公演で上演され、どちらも強烈な印象を残した代表作のひとつです。
原作でも人気の高い鬼島軍曹というキャラクターを、水美舞斗さんは見事に演じきりました。
観劇者からは「豪放磊落、一本気で情に厚い鬼島軍曹そのもの」「ワイルド感満載の鬼島軍曹」として絶賛され、特に軍服の開襟から漂う「紛れもなく男性の色気」が大きな話題となりました。
興味深いのは、水美舞斗さんの鬼島軍曹には「ワイルドな男性の色香と、ガラス細工のような儚さが混在している」という評価があることです。
この独特なアンバランス感が、観客の心を強く掴む要因となっており、「単に情報を説明するのではなく、全てに心や想いがこもっている」濃厚な演技として高く評価されています。
戦闘シーンでの安定した演技力も含め、水美舞斗さんの男役としての成熟した魅力が存分に発揮された作品といえるでしょう。
エリザベート(ルキーニ)
2014年花組『エリザベート』新人公演でのルイジ・ルキーニ役は、水美舞斗さんにとって大きな転機となった役柄です。
明日海りおさん・蘭乃はなさんトップコンビの大劇場お披露目公演という重要な公演で、入団6年目という比較的早い段階での大役抜擢は大きな注目を集めました。
エリザベート暗殺犯で狂言回しという重要な役柄を演じた水美舞斗さんについて、観劇者からは
- 「爽やかで端正なイメージがあるが、黒塗りで悪い役もどこかスタイリッシュ」
- 「長いアドリブも素敵」
- 「手足が長く美しい」
という評価が寄せられました。
このルキーニ役の経験は水美舞斗さんにとって非常に印象深いものだったようで、2019年のバウ公演「Dream On!」では、この時のルキーニを再演して話題となりました。
新人公演時代の代表的な役柄として、彼女の演技の幅広さを示す重要な作品です。
ミーアンドマイガール
2023年星組博多座公演『ME AND MY GIRL』は、水美舞斗さんが専科異動後に挑んだ話題の公演でした。
この公演の最大の特徴は、主人公ビル役とジョン卿役を暁千星さんと役替わりで演じるという特別企画だったことです。
水美舞斗さんのビル役は「明朗快活で縦横無尽のアドリブ」が特徴的で、「下町に紛れ込んだ星の王子様」のような独特な魅力を持っていました。
暁千星さんの切れ味鋭い勢いのあるビルとは対照的に、水美舞斗さんのビルには「穢れない純真さ」を感じさせる演技があり、
娘役の舞空瞳さんを包み込むような包容力とエレガントなダンス表現が印象的でした。
帽子やリンゴを使ったトリックも安定した技術で披露し、初代剣幸さんのビルを彷彿とさせる天真爛漫で気品のある演技が多くの観客を魅了しました。
同じ役を異なる魅力で演じ分ける役替わりという形式で、水美舞斗さんの個性的な表現力が光った作品となりました。
バウホール主演・準主演作
Senhor CRUZEIRO(2018年バウ初主演)
水美舞斗さんのバウホール初主演作『Senhor CRUZEIRO(セニョール クルゼイロ)!-南十字に愛された男-』は、入団10年目という節目の年に実現した記念すべき作品でした。
2018年5月に宝塚バウホールで上演されたこのラテングルーヴ・ショーは、ポルトガル語で南十字星を意味する「CRUZEIRO」をテーマにした二部構成の作品です。
第1幕ではブラジルのアーティストグループのリーダーを主人公にしたストーリー仕立てのショー、第2幕では南十字星の輝く熱帯夜のラテンショーが展開されました。
「踊るのが一番好き。貴重な経験なのでありがたい」とコメントした水美舞斗さんは、
王道ダンスから側転、床技、客席降りまで多彩なパフォーマンスを披露し、「自分の殻を破りたい」という意気込みで臨んだ公演となりました。
銀ちゃんの恋(2021年東上初主演)
2021年の『銀ちゃんの恋』は、水美舞斗さんにとって東上公演初主演となった重要な作品でした。
KAAT神奈川芸術劇場と梅田芸術劇場ドラマシティで上演されたこの作品は、つかこうへい作「蒲田行進曲」を原作とし、11年ぶり4度目の上演で水美舞斗さんが3代目銀ちゃんを演じました。
初代の久世星佳さん、2代目の大空祐飛さんに続く銀ちゃん役は、水美舞斗さんの演技の幅をさらに広げる機会となり、ファン念願のガッツリとした芝居物での主演として大きな話題となりました。
まとめ
水美舞斗さんの代表作を振り返ると、その多彩な魅力と確実な成長の軌跡を見ることができます。
新人公演でのルキーニ役での頭角現し、バウホール主演でのダンスパフォーマンス、そして外部公演でのアンドレ役まで、それぞれの作品で異なる魅力を見せてきました。
特筆すべきは、ワイルドな男性的魅力から繊細な美しさまで表現できる幅広い演技力と、3歳から続けているダンスの卓越した技術です。
「オールマイティーに色々な芝居が出来る役者になりたい」という彼女の言葉通り、様々なジャンルの作品で印象深い演技を残してきました。
2025年4月28日からは宙組に組替えとなり、新たなステージでの活躍が期待されています。
これまでの花組・専科での豊富な経験を活かし、宙組でどのような新たな魅力を見せてくれるのか、ファンの期待は高まるばかりです。
「歌と芝居で人をこんなにも感動させられる」宝塚への情熱を胸に、水美舞斗さんの今後の活躍から目が離せません。
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