宝塚歌劇団で「マイティー」の愛称で親しまれる水美舞斗さんは、2009年入団の95期生として花組に配属され、現在は宙組2番手スターとして活躍されています。
3歳からクラシックバレエを始め、「花の95期生」の一人として確固たる地位を築いてきた水美舞斗さんの実力を、
歌唱力・ダンス・バレエ基礎の3つの観点から詳しく検証し、代表作品での評判とともに整理してみましょう。
歌唱力:声域・響き・語り口
水美舞斗さんの歌唱力については、「発展途上ながら着実に成長している」というのが現在の評価です。
最大の特徴は「声がよく通る」「良くとおる台詞の声」として多方面から評価されている点で、舞台での存在感を支える重要な要素となっています。
技術的なレベルとしては「△寄りの○」という評価が一般的で、
宝塚ブログでは「現時点では『水美舞斗さんは歌がうまい!』と皆さんにオススメはできません」という率直な意見もありますが、
同時に「以前から徐々に『歌が上手くなっている!』と感じています」との成長への期待も寄せられています。
ソロ/デュエット/コーラスでの強み
水美舞斗さんの歌声は、ソロよりもアンサンブルやコーラスの中で力を発揮する傾向があります。
「声質は良さそうなんだけど、どうも歌の響きが弱い印象がありました」という技術面の課題が指摘される一方で、
「壊滅的ではない」「歌、上手い方ではないですか?」という中間的な評価も多く見られます。
特に台詞回しでは「申し分のない歌唱力」との評価もあり、歌というよりも語りの部分での表現力が高く評価されています。
マイク乗り・ブレス・言葉の立ち上がり
水美舞斗さんの歌唱における技術的な特徴として、マイクとの相性の良さが挙げられます。
「声がよく通る」という基本的な資質により、大劇場でも後列まで届く声量を持っています。
一方で、ブレスコントロールや音程の安定性については「歌は声震えてるなーとか音ずれたなーとか素人でもすぐわかります」という厳しい指摘もあり、技術的な向上が求められている分野でもあります。
ダンス:重心・切り返し・群舞での中心性
水美舞斗さんの最大の武器であるダンスについては、専門家からも絶賛の評価を受けています。
同じくダンサーとして知られる冴月瑠那さんから「技術的に上手いのはマイティーです。これは、ダンスに携わる人ならわかる事です」「とにかく動きが美しく」との高評価を得ており、
後輩の永久輝せあさんも「踊りが本当に素晴らしくて、かっこいい。あんな風に踊りたい」「水美さんにしかできない表現」と絶賛しています。
重心移動については「軸のぶれない高速スピン、すごい!!」「力強く切れのあるダンス」と評価され、3歳から始めたクラシックバレエの基礎が現在のダンス技術を支えています。
群舞での中心性についても「一番踊っていたのは水美舞斗!」との評価があり、「ダンスオリンピア」では「水美舞斗が凄すぎた件」として大きな話題となりました。
キレとしなやかさ/ペアワーク
水美舞斗さんのダンスの特徴は、「体格を活かしたダイナミックさと野性的な色気を兼ね備えた」表現力にあります。
「見ごたえのある高いジャンプ」や「キレッキレのダンス」として知られる一方で、「しなやかで軽やか」な側面も持ち合わせており、この二面性が大きな魅力となっています。
ペアワークでは「安定したリフト」「娘役さんをしっかりリードしながら見せる男役としての格好良さ」が評価され、「ダンスをしながら距離をつめて引き込んでくれる稀有なダンサー」として観客を魅了しています。
振り覚えの早さも特筆すべき点で、「カウント取りや振り覚えが得意な人」として知られ、「30分くらいで覚えた」というエピソードも残されています。
バレエ基礎:ライン・軸・ターン安定
水美舞斗さんのダンス技術の根幹を支えているのは、3歳から始めたクラシックバレエの確固たる基礎です。
幼少期には小学校低学年でコンクールに出場し、コドモアテネでは「最後の舞台ではセンターで踊った」ほどの実力を持っていました。
現在のパフォーマンスでも「基本がクラシックバレエ」であることが随所に現れており、「宝塚らしい」「男役らしい」ダンスを体現する土台となっています。
ラインの美しさ、軸の安定性、ターンの正確性など、バレエで培った技術が宝塚の舞台で存分に活かされています。
所作の気品が活きる役どころ
バレエ基礎がもたらす所作の気品は、水美舞斗さんの演技の幅を広げる重要な要素となっています。
「上品な立ち居振る舞い」として評価される美しい姿勢や、「指の先まで細やかな演技」は、バレエで身につけた身体意識の表れです。
特に貴公子役や上流階級の役柄では、この気品のある所作が大きな武器となり、「優しさが全面をあふれていて、気づくと微笑んでしまう包容力」を感じさせる演技につながっています。
作品別ミニレビュー(出典引用を添えて)
ベルばら(アンドレ)
水美舞斗さんのアンドレ役については、その男性的な体格と表現力が高く評価されました。
「肩幅43cm」という恵まれた体格により、柚香光さんが音楽学校受験時に「この人男だ~」と感じたというエピソードが示すように、生来の男役としての資質がアンドレ役で存分に発揮されました。
はいからさんが通る
「はいからさんが通る」の鬼島森吾役は、水美舞斗さんにとって「かなりの当たり役」として評価されています。
「不器用な優しさを持つキャラクターが水美さんの魅力と重なり」、「軍服や馬賊の衣装を勇ましく着こなし」た姿は、「視線がくぎ付けになってしまう」「格好よすぎて辛い」などの熱い感想を生みました。
荒くれものでありながら男気のある役柄は、水美舞斗さんの人柄とも重なる部分があり、説得力のある演技として高く評価されています。
エリザベート(ルキーニ)
2014年の「エリザベート」新人公演で大役ルキーニに抜擢されたことは、水美舞斗さんのキャリアにおける重要な転換点でした。
この役での評価が後の「カリスタの海に抱かれて」新人公演初主演につながったとされており、
ダンス技術と演技力の両方が求められる難役を見事に演じきったことで、その後の活躍の基盤を築きました。
HiGH&LOW ほか
東京での外部出演作品「HiGH&LOW THE 戦国」では、宝塚の枠を超えた新たな表現に挑戦し、水美舞斗さんの適応力と表現の幅を示しました。
また、「ME AND MY GIRL」での博多座公演では、「マイティー演じるビルのぱーっと明るいムード、粗野だけど遊び心があって輝く笑顔」が評価され、「ダンスがキレッキレで」観客を魅了しました。
総評と今後の注目点
水美舞斗さんは、ダンス技術において圧倒的な実力を持つ一方で、歌唱力については発展途上ながらも着実な成長を見せているバランス型のスターです。
3歳から培ったバレエの基礎が現在のパフォーマンスの土台となり、「明るくて気さく」な人柄がファンからの厚い支持につながっています。
2025年4月28日付での宙組異動により、新たなステージでの活躍が期待される水美舞斗さん。
宙組2番手として組を牽引する立場となり、これまで以上に多様な役柄への挑戦機会が増えることが予想されます。
特に歌唱力のさらなる向上により、真の意味でのオールマイティーなスターへの成長が期待され、「オールマイティーに色々な芝居ができる役者になりたい」という本人の目標実現への道筋がより明確になってきています。
今後は宙組での新たな魅力の発見とともに、これまで培ってきた技術と人間性を活かした、より深みのある演技への発展が注目されるところです。
コメント