宝塚歌劇団の元男役スター・和希そらさんについて、
「番手は何番だったの?」「どんな路線の男役だった?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
2024年2月に退団された和希そらさんは、宙組から雪組への組替えを経験し、最終的に雪組3番手として活躍されました。
本記事では、宝塚での専門用語を整理しながら、和希そらさんのキャリアを年表形式で振り返り、その歩みと特徴を詳しく解説していきます。
何番手だった?
和希そらさんの番手は、所属組によって異なります。宙組時代は4番手、雪組移籍後は3番手というのが基本的な位置づけでした。
宙組時代の番手(2010年~2021年)
宙組では長らく4番手のポジションにありました。当時の序列は以下の通りです:
- トップスター:真風涼帆さん(92期)
- 2番手:芹香斗亜さん(93期)
- 3番手:桜木みなとさん(95期)
- 4番手:和希そらさん(96期)
この状況は「番手詰まり」と呼ばれ、上級生が多く在籍していたため、和希そらさんがさらに上の番手に昇格する機会が限られていました。
実力は十分に認められていたものの、学年制の影響で4番手に留まらざるを得ない状況が続いていました。
雪組移籍後の番手昇格(2021年~2024年)
2021年12月10日付の雪組組替えで3番手に昇格しました。雪組での序列は:
- トップスター:彩風咲奈さん(93期)
- 2番手:朝美絢さん(95期)
- 3番手:和希そらさん(96期)
- 4番手:綾凰華さん(98期)
この組替えは実質的な昇格であり、「栄転」と評価されました。
雪組では「強い3番手」として位置づけられ、2022年以降は「2番手級の扱い」を受けるようになりました。
番手昇格の証拠
番手昇格を示す具体的な変化として:
- 公演プログラムでの扱い向上:スチール写真が2分の1サイズになるなど、2番手級の待遇
- 羽根の格上げ:2023年『FROZEN HOLIDAY』では3番手羽根を背負いました
- 主演機会の増加:雪組移籍後、東上公演主演を2回経験
番手評価の複雑さ
ただし、宝塚の番手システムには複雑な面もあります。
和希そらさんは「正3番手扱い」を受けるまでに時間がかかったとの指摘もあり、当初は「3番『目』扱い」だった可能性も示唆されています。
これは、組替えによる新参者として、まず実績を積む必要があったためと考えられます。
最終的には、雪組3番手として確固たる地位を築き、2024年2月の退団まで重要なポジションを維持し続けました。
宙組4番手から雪組3番手への昇格は、和希そらさんのキャリアにとって重要な転機となったといえるでしょう。
年表で見る歩み
初舞台~新人期のトピック
2010年4月:宝塚歌劇団入団
和希そらさんは96期生として、2番という優秀な成績で宝塚歌劇団に入団。
月組『THE SCARLET PIMPERNEL』で初舞台を踏み、その後宙組に配属されました。
2014年:新人公演「ベルサイユのばら」でオスカル役主演
研5という比較的早い時期に、宝塚100周年記念年の新人公演で主役オスカル役に抜擢されました。
これは異例の大抜擢で、和希そらさんの実力が早くから認められていたことを物語ります。
実は、新人公演主演はこの1回のみという珍しいキャリアでした。
2016年:「エリザベート」新人公演でルキーニ役
キーマンとなる重要な役柄を演じ、さらなる成長を見せました。
転機となった公演と役柄
2018年8月:バウホール初主演「ハッスルメイツ」
宙組20周年・バウホール40周年の記念すべき年に、バウホール初主演を務めました。
宙組の20年の軌跡を名曲や名場面で振り返るショー形式の作品で、「宙組の魂をお客様に伝えたい」との想いで臨まれました。
2020年:「アナスタシア」でリリー役
伯爵夫人リリー役で女役にも挑戦し、その演技力の幅を見せつけました。
2021年4月:バウホール2度目主演「夢千鳥」
栗田優香先生の演出家デビュー作で、竹久夢二と60年代映画監督の2役という難役に挑戦。
しかし、コロナ禍の影響で4日間6公演という短期間での上演中止となり、悲劇的な結末を迎えました。
組替えの時期と背景(事実の範囲で)
2021年7月27日:雪組組替え発表
同期の紫藤りゅうさんの星組→宙組異動(2019年12月)が発端となったとの見方があります。
宙組では真風涼帆さん(トップ)→芹香斗亜さん(2番手)→桜木みなとさん(3番手)→和希そらさん(4番手)という序列で、いわゆる「番手詰まり」の状況でした。
2021年12月10日:正式に雪組へ組替え
雪組では彩風咲奈さん(トップ)→朝美絢さん(2番手)→和希そらさん(3番手)として迎えられ、実質的な昇格となりました。
この組替えは「栄転」と評価され、雪組での活躍に期待が寄せられました。
2022年:「心中・恋の大和路」で東上公演初主演
雪組移籍後初の東上公演主演を務めましたが、コロナ禍の影響で大阪公演が不完全燃焼に終わりました。
2023年:「双曲線上のカルテ」で2度目東上主演
渡辺淳一作「無影燈」を原作とした作品で、悲願の完走を果たしました。
「和希そらさんの色気ダダ漏れ」と評される演技で、宝塚時代最後の主演作となりました。
2024年2月11日:宝塚歌劇団退団
『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』『FROZEN HOLIDAY』東京公演千秋楽をもって退団されました。
キャリアの特徴と評価ポイント
歌・芝居・ダンスの強み
和希そらさんの最大の特徴は、歌・ダンス・芝居の三拍子が高いレベルで揃っていたことです。
歌唱面では、男役には珍しい低音歌唱ができることで知られていました。宙組時代は少年的な透明感のある歌声でしたが、雪組移籍後は大人の色気を感じさせる深みのある歌声に変化していきました。
ダンス面では、「弾けるようなダンス」「キレのあるダンス」と評され、特に宙組時代から定評がありました。雪組移籍後の『蒼穹の昴』や『FROZEN HOLIDAY』では、メリハリのある動きとダンスの技術で観客を魅了しました。
芝居面では、宙組時代の少年的なキャラクターから、雪組での大人の男性役まで幅広い役柄を演じ分けました。特に東上公演の主演作品では、悲劇的な役柄を深い演技力で表現し、「色気すら感じさせる実力派」として成長を見せました。
ポジション推移の見え方(データ的視点)
和希そらさんの番手推移を客観的に見ると、着実な成長曲線を描いていることが分かります。
宙組時代(2010年~2021年)では、4番手というポジションながら2018年にバウホール主演を経験。これは将来性を認められた証拠でした。しかし、上級生の存在により、これ以上の昇格は困難な状況でした。
雪組移籍(2021年~2024年)では、3番手として迎えられ、実質的な昇格を果たしました。2022年からは「2番手級の扱い」を受けるようになり、公演プログラムでのスチール写真が2分の1サイズになるなど、待遇面でも向上が見られました。
特筆すべきは3年連続主演(2021年バウ『夢千鳥』、2022年東上『心中・恋の大和路』、2023年東上『双曲線上のカルテ』)という偉業です。
これは和希そらさんの実力と人気を物語る重要な指標といえるでしょう。
路線だったと言えるか・またその理由
和希そらさんが「路線」だったかどうかについては、様々な見方ができる複雑な問題です。
路線であったと見る要素として、まず新人公演での抜擢が挙げられます。
2014年の「ベルサイユのばら」で研5という比較的早い時期にオスカル役に抜擢されたのは、宝塚100周年という記念すべき年でもあり、劇団側の期待の表れと解釈できます。
また、2018年のバウホール初主演「ハッスルメイツ」も宙組20周年・バウホール40周年という節目での起用であり、重要な機会を与えられていたことが分かります。
さらに、雪組への組替えと3番手昇格も路線としての扱いを示唆する要素です。
単なる横移動ではなく、実質的な昇格を伴う組替えは、劇団が和希そらさんの将来性を評価していた証拠といえるでしょう。
雪組移籍後の2022年からは「2番手級の扱い」を受けるようになり、公演プログラムでの写真サイズも向上するなど、待遇面での改善も見られました。
一方で、路線ではなかったとする見方も存在します。
新人公演主演が1回のみという点や、身長167cmというハンデ、そして最終的にトップスターになることなく退団した事実は、完全な路線扱いではなかったことを示唆しているかもしれません。
また、「劇団からの推しは薄いけど一般受けが抜群に良い」という評価もあり、ファン人気と劇団の期待度に乖離があった可能性も指摘されています。
最も適切な見方としては、和希そらさんは「部分的な路線」あるいは「実力重視の路線」だったのではないでしょうか。
つまり、身長などの物理的制約はありながらも、その卓越した実力(歌・ダンス・芝居の三拍子)により、劇団から一定の期待と機会を与えられ続けた存在だったといえます。
特に3年連続主演(2021年~2023年)という事実は、劇団が和希そらさんの価値を認めていた重要な証拠です。
バウホール主演2回、東上公演主演2回という経歴も、完全にトップ路線ではないものの、相当な期待を寄せられていたことを物語っています。
結論として、和希そらさんは従来の「完全な路線」とは異なる、新しいタイプの路線扱いを受けていた可能性が高く、
実力主義が重視される現代宝塚における、新たな路線の形を体現していた存在だったのかもしれません。
まとめ
和希そらさんのキャリアを振り返ると、路線男役として着実にステップアップを重ねた14年間だったことが分かります。
宙組4番手から雪組3番手への昇格、バウホール2回・東上公演2回の主演経験、そして歌・ダンス・芝居の三拍子揃った実力は、まさに「実力派路線男役」の典型といえるでしょう。
身長というハンデを実力でカバーし、組替えという転機を活かして新たな魅力を開花させた和希そらさんの歩みは、多くのファンに愛され続ける理由を物語っています。
退団後も舞台を中心に活躍されている現在、宝塚での経験が新たなステージでどう活かされていくのか、今後の活動にも注目が集まります。
宝塚歌劇団という特殊な世界で、限られた期間の中で最大限の輝きを見せた和希そらさん。
その軌跡は、夢に向かって努力し続けることの大切さを教えてくれる、貴重な記録として語り継がれていくことでしょう。
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